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ラゴゼ・ヒイヨ

15 7月

グレート・オールド・ワン

 ユノルは、天を指していた。
 その指のさす先には、満月があった。
 月は黒い十字の亀裂を生じ、4つに割れていた。
 船員たちは皆、白い皮膜を捲り上げ、争うように中へ潜り込んでいく。皮膜の下で船員たちの膨らみが忙しげに動きまわり、例の穴から彼らの彼らの日に焼けた顔が次々と現れる。
 そして、我が友や褐色の老人も、その中へ――。

――黒史郎『歓喜する贄』

 このグレート・オールド・ワンは「託宣なき月」を意味するその名前の通り、満月の夜に現れる。月をまるで十字に割るかのようにして現れ、あらゆる生物を飲み込み去ってゆく。ラゴゼ・ヒイヨの出現とともに、皮膜のようなものが地上に現れる。皮膜は生物の精神に干渉し、中に入り込むよう働きかける。この皮膜を回収することで、ラゴゼ・ヒイヨは捕食を行なっている。月を覆う程の巨大な存在ではあるが、これ迄の目撃例はいずれも影のみにとどまっており、ラゴゼ・ヒイヨの真なる姿を目撃できたものはいない。

カルト:ラゴゼ・ヒイヨは砂漠の遺跡に棲む言葉を持たない人間たちにより崇拝されている。またヨーロッパの海域でラゴゼ・ヒイヨが現れた際にも、唖者の老人が目撃されており、ラゴゼ・ヒイヨの顕現には彼らが何らかの働きかけが関与しているのかもしれない。

白い皮膜:ラゴゼ・ヒイヨとともに現れる皮膜は白く、側面に穴の空いた筒のような形状をしている。ラゴゼ・ヒイヨに魅了されたものは皮膜の中へと入り込み、側面の穴から顔をだす。皮膜に入り込んだものは、膜の収縮運動により体が押しつぶされている一方で、皆恍惚とした表情を浮かべる。またこの皮膜は海中にて移動する姿も目撃されているようだが、それが皮膜に捕獲された魚たちによるものなのか、それとも皮膜自身が一個の生命として移動することができるのか、などは不明である。時が経つと皮膜は空へと浮かび上がり、ラゴゼ・ヒイヨと共に何処かへと飛び去ってしまう。

攻撃と特殊な効果:ラゴゼ・ヒイヨ自身は攻撃をしてくることはない。前述の白い皮膜による生物の捕獲ではあるが、探索者とのPOWの対抗ロールにより中に入りたいという衝動が決定する。皮膜のPOWは1から始まり、1ラウンドにつき1づつ増加する。また皮膜に捕獲された犠牲者は救い出すことができるかもしれないが、皮膜に触れた場合は一時的にPOWが1D5減少するため、逆に皮膜の中へと入ることにもなりかねないだろう。皮膜内部では捕獲した生物を圧縮しようとする作用が発生し、捕獲された場合は1ラウンドにつき1D5のダメージを受ける。

ラゴゼ・ヒイヨ、託宣なき月
STR 不明 CON 150 SIZ 420 INT 不明
POW  45 DEX  20
武器:該当せず
装甲:なし
呪文:なし
正気度喪失:月に投影されたラゴゼ・ヒイヨの影を見て失う正気度ポイントは1/1D6
ただしあまりにも巨大な現象であるため、それが生物の仕業だと気が付かない場合は0/1
影ではなく、ラゴゼ・ヒイヨの真なる姿を見て失う正気度ポイントは1D8/2D20

 
 

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