唯一の存在
『都会の怪異? 行方不明の医師の部屋からナゾの肉塊』
事件の概要をかいつまむと、こんなところだ。精神科医のAさんが無断で一週間も欠勤し、不審に思った知人がマンションの管理人と共に部屋を訪れたところ――緑色の粘液に覆われた部屋の中で、大きな肉塊が不気味な笑いを浮かべたまま佇んでいた、とのことだ。饅頭を握りつぶしたような姿で、顔もどこにあるか定かでないのに、狂ったような笑い声をはっきりと出した、いびつな笑顔がはっきりと解った――と、目撃者の二人が語っているインタビューが後に続いている。