上級の奉仕種族
逃げ出さなかったのはさいわいだった。そうでなければ最高気温が四十度にたっした八月のその日の午後、助手席にひとり取り残された十五歳のベティ・モーガンは、パニックが引き起こした過呼吸でもがき苦しみながら、熱中症で死んでいただろう。 救急車が呼ばれ、ベティは保護された。駆けつけた保安官に、ピックアップトラックを運転していた奴はどうしたと訊かれ、彼女はこう証言した。 雲に食われた。
――片瀬二郎『花と少年』
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投稿者: dannicchi : 9月 10, 2013 投稿先 クリーチャー, 奉仕種族