グレート・オールド・ワン
ユノルは、天を指していた。 その指のさす先には、満月があった。 月は黒い十字の亀裂を生じ、4つに割れていた。 船員たちは皆、白い皮膜を捲り上げ、争うように中へ潜り込んでいく。皮膜の下で船員たちの膨らみが忙しげに動きまわり、例の穴から彼らの彼らの日に焼けた顔が次々と現れる。 そして、我が友や褐色の老人も、その中へ――。
――黒史郎『歓喜する贄』
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投稿者: dannicchi : 7月 15, 2013 投稿先 グレート・オールド・ワン